今、この人に聞く

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「素敵なこと」や「話題のもの」を作り出すのはすべて「人」。 「今、この人に聞く」では、各方面の方々に直接インタビューし、思いやプロセスを語っていただきます。

補助具の製作を通じて仕事を創る

 
補助具の製作を通じてしょうがい者の仕事を創る。~山内明さん(城西二丁目)~
 
■障害の度合いによって、補助具や治具も工夫が必要
昭和48年から平成17年まで32年間、「知的しょうがい児施設東遠学園組合東遠学園」の指導員として仕事をされてきた山内明さん。障害を持つ人たちと接する中で、「障害」といってもいろいろな形があること、人によって「できること」「できないこと」が様々であること、遊んだり仕事をするための「補助具」や「治具」が必要なことを実感したといいます。
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そもそも「補助具」とは、身体機能の障害を補い、日常生活又は社会生活を容易にし、自立と社会参加を可能とするための道具や手段等の総称であり、「治具」は、加工や組立ての際、部品や工具の作業位置に誘導するための器具のことです。

山内さんが考案した補助具の一つに「卵のカラつぶし器」があります。例えば「卵のカラをつぶす作業」でも、手首をねじることができない場合と、棒を握って上からとんとんと押す作業ができない場合とでは、おのずと補助具の形が違うのだといいます。
手首をねじることができる場合は、「すりこぎ式(写真参照)」が使えます。
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棒を握って上から押す作業ができる場合は、「見える式(写真参照)」が使えます。
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このように、同じ「卵のカラをつぶす」という作業でも、違う補助具があることで、「障害を持つ人が作業できる幅」が広がるということなのです。
山内さんはこれまで、仕事をしながらこのような補助具や治具の製作に取り組んできました。

■「仕事を創り出したい」という想い
「掛川でも、障害を持つ人が一般企業の職業につけるのはまだまだ少ないのが現状です。それは、彼らの能力に見合った仕事が少ないことと、仕事の幅が狭いことが原因としてあると思います。先程の『卵のカラをつぶす』作業の話でもわかるように、障害の形も様々で、重度、軽度に関係なく、できること、できないことが人によって様々です。だからこそ、いろいろな補助具を作ること、工程を増やし、仕事に関われる機会を増やすことが大切なのです」
そのために、山内さんは様々な補助具を考案してきました。

まず、先程の「卵のカラをつぶす」補助具です。
卵のカラは畑に肥料としてまくことができます。
遊びにも使えますし、できた時の喜び、自分も役に立つのだという達成感があります。

これは「ジャンプでぺっちゃん」、空き缶をつぶす補助具です。
「缶のつぶし方もいろいろです。いろいろあることで作業の幅が広がります。あと、ネーミングが大切です。子どもにも大人にもお年寄りにも楽しいのがいいですね」
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■様々な動作が可能なおもちゃの製作
山内さんは、一般児童学童保育所「たつのこクラブ」指導員、心身しょうがい児学童保育所「かざぐるま」「みなみかぜ」指導員としても仕事をされてきました。仕事の補助具だけでなく、遊びの補助具や遊び道具そのものも考案、製作を、実際の現場で活かしてきました。
「子どもたちの中には、言葉が出せない子もいます。遊ぶことで発散できることも大切です」

そうした遊びの道具のあれこれをご紹介します。
まずは、「それこげボート」。
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これは、盤ゲームの「どうぶつゲーム」。
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こちらは、「ホースランド」。
ホースの長さは6メートルです。ひっくり返すことで、繰り返し遊ぶことができます。寝たきりの子もできるんです。
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こちらは、「パチンココロコロ」。
ビー玉を飲み込むなどの危険がないように、透明なカバーがしてあり、ビー玉は赤いエレベーターに乗ってスタート地点へ戻せるようになっています。様々な配慮にビックリ!
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こちらは、「バスケットキャッチ」。
手をひらく、つかむというグローブを使う動作のできない子も、キャッチボールができます。材料は、ファイルの表紙と雨どい。ボールは、じゅず玉の入ったお手玉の形を改良したのが一番だそうです。
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こちらは、「キック三輪車」。サドルが360度回転できます。
でこぼこした土の上でも使えるように、マウンテンバイクのようなタイヤでチャレンジしたけれど……、結果は残念。「うまくいきませんでした(笑)。やってみないとわかりませんね」
山内さんのお話から、様々な試行錯誤が伺えます。
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また、山内さんはこうした補助具を木で製作することの大切さを考えています。
「遊びを通して木のぬくもりを感じることができるだけでなく、木製品には『壊れたら修繕をする』という仕事も創り出すこともできますからね」

■想いをつなげ、障害を持つ人の仕事を増やしたい
山内さんは今、これまで製作した補助具のデータをまとめています。道具を分解して改めて設計図を作る、という作業を重ねています。
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「障害を持つ人たちの仕事を増やしたい。そのためには一つの仕事を一つの補助具で作るのではなく、様々な道具を作り、関われる工程を増やすことが大切だと思います。しかし、彼らが持てる能力を精一杯発揮してやった仕事も、一般社会のなかでは評価されません。それなら彼らしかできない仕事を創り出せば良いのではないかという考えに行きつきました。いつの日か、こうした補助具の商品化や、製作自体を作業所の仕事として、全国に売り出すことができれば嬉しいです」
とはいえ、山内さん自身、今は97歳になるお母様の介護をされていて、なかなか外に出ることのできない状況にあります。
「彼らにしかできない仕事創りのために、これからどうしたらいいかというアドバイスでも、こんなことが協力できるよ、という申し出でも何でもけっこうです。また、写真にある作業用具をやおもちゃを見に来てくれるだけでも嬉しいです。皆さんのお知恵とお力をお借りしたいと思います。どうぞよろしくお願いします」

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※山内さんの想いは『山ちゃん奮闘記=光輝く彼らと共に歩む=』で読むこともできます。(戸田書店中央店にて販売中です。定価1,050円)
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【山内明さんの連絡先】
掛川市城西2-1-10
0537-24-1934 (お電話は、夕方以降の方がつながりやすいということです)

取材レポート:いいじゃん掛川編集局/河住雅子

『山ちゃん奮闘記』を手にした山内さん

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